IT用語を超やさしく理解する

期待値

別名: 期待値 / 数学的期待値 / expected value / expectation

先に知っておくと分かりやすいことば(1語)

必要なら先に確認できます。知っていることばは、そのまま読み進めて大丈夫です。

  • 確率分布確率変数と確率分布、離散分布と連続分布、ベルヌーイ・二項・ポアソン・正規・指数分布の基本的な使い分けを説明します。

30秒で思い出す

期待値は「それぞれの値 × その値になる確率」を全部足した、確率を考えた平均的な値です。

たとえば処理時間が、

  • 70%の確率で3ミリ秒
  • 30%の確率で13ミリ秒

なら、期待値は

3 × 0.7 + 13 × 0.3
= 2.1 + 3.9
= 6ミリ秒

です。

1回の処理が必ず6ミリ秒になる、という意味ではありません。

期待値は何を表す?

結果が毎回同じではないときでも、各結果の起こりやすさが分かれば、全体としてどのあたりの値になるかを1つの数で表せます。

これが期待値です。

同じ条件を何度も繰り返したときの平均を考えるための基準になります。

確率分布から期待値を求める

離散的な確率変数Xが、

  • x1を確率p1で取る
  • x2を確率p2で取る
  • xnを確率pnで取る

とき、期待値E[X]は次のように求めます。

E[X]
= x1 × p1 + x2 × p2 + ... + xn × pn

つまり、値をそのまま平均するのではなく、起こる確率を重みとして掛けてから足します。

確率の合計は1です。

公平なサイコロの期待値

公平な6面サイコロでは、1〜6がそれぞれ1/6の確率で出ます。

E[X]
= 1×1/6 + 2×1/6 + 3×1/6
  + 4×1/6 + 5×1/6 + 6×1/6
= 21/6
= 3.5

サイコロには3.5の面はありません。

期待値は「次に出る値の予言」ではなく、確率分布全体を平均した値だからです。

二項分布の期待値

成功確率pの独立な試行をn回行い、成功回数Xを数える二項分布では、

E[X] = n × p

になります。

たとえば成功確率0.2の試行を10回行うなら、

E[X] = 10 × 0.2 = 2

です。

これは「毎回必ず2回成功する」という意味ではなく、同じ条件を繰り返したときの成功回数の平均的な基準が2回という意味です。

なぜ期待値を使う?

結果にばらつきがあるとき、1つの代表値があると比較や見積りをしやすくなります。

ITでは、たとえば、

  • 処理時間
  • 障害による損失
  • 一定回数の試行で起きるエラー数
  • リクエスト数や成功回数

など、確率が関係する値の平均的な大きさを考える入口になります。

ただし、期待値だけではばらつきの大きさは分かりません。リスクや安定性を判断するときは、分散や標準偏差など別の指標も必要になります。

観測データの平均値との違い

期待値と平均値は似ていますが、見ているものが違います。

  • 期待値: 確率分布から理論的に求める平均
  • 標本の平均値: 実際に観測したデータから求める平均

同じ条件で観測をたくさん繰り返すと、標本の平均値が期待値に近づくことがあります。

このKnowledgeでは、確率分布から求める期待値を扱います。

よくある勘違い

期待値が4なら、結果は4になる?

違います。

期待値は長い目で見た平均的な基準です。実際の1回の結果が期待値と同じになるとは限りません。

期待値は一番起こりやすい値?

違います。

最も起こりやすい値と期待値は別の概念です。公平なサイコロの期待値は3.5ですが、3.5が出ることはありません。

値だけを足して件数で割ればよい?

確率が同じとは限らないため、一般には違います。

期待値では、それぞれの値にその値になる確率を掛けて足します。

期待値だけで安全性やリスクを判断できる?

十分ではありません。

同じ期待値でも、結果のばらつきが大きい場合と小さい場合があります。ばらつきは後続の統計Routeで扱います。

このKnowledgeで扱わないこと

ここでは、離散的な確率変数の期待値と、二項分布の期待成功回数の基本を扱います。

次は別Knowledgeへ分けます。

  • 連続分布の積分を使った期待値計算
  • 分散 / 標準偏差
  • 共分散
  • 統計的推定
  • 仮説検定
  • リスク選好を含む意思決定理論

ここまで分かればOK

  • 期待値が確率を考えた平均的な値だと説明できる
  • 「値 × 確率」を足して離散的な期待値を求められる
  • 期待値が実際に取り得る値とは限らないと説明できる
  • 二項分布の期待成功回数を n × p で求められる
  • 期待値と観測データの平均値の違いを説明できる

資格との関係

基本情報技術者試験

シラバス
Ver.9.2
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問題で応用できる
重要度
分野
テクノロジ

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答えを選んで、なぜそうなるのかまで確認できます。

確認問題 1

公平なサイコロの期待値を求める

公平な6面サイコロを1回振り、出た目をXとします。1〜6の各目が出る確率はそれぞれ1/6です。

Xの期待値として正しいものはどれですか?

回答を1つ選んでください

確認問題 2

処理時間の期待値を求める

ある処理の完了時間は、80%の確率で2ミリ秒、20%の確率で12ミリ秒になるものとします。

この処理時間の期待値として正しいものはどれですか?

回答を1つ選んでください